テレビ番組で放送されていた内容を備忘録としてまとめました。
肘部管症候群とは
小指が痺れて痛い肘部管症候群。そのままにしておくと手先を使う細かい作業や箸でご飯を食べることまで難しくなり日常生活にかなりの支障をきたすようになります
あなたも一度は経験したことがありませんか?どんなものかと言うと、ひじの内側をなにかにぶつけてしまって、小指あたりがジーン痺れてた経験はありませんか?
この肘部管症候群は小指と薬指だけがしびれるといった特徴があるんですが、同じ指がしびれる、という病気でも、指によって原因となる場所が違うんです。
なぜひじを打つと小指がジーンとくるのか?小指に行く神経(尺骨神経)というのは肘の内側を通るんです。ちょうど肘の内側のところです。皮膚のすぐ下のところに神経が通ってるのでぶつけて症状が出やすいと考えられています。肘部管症候群(ちゅうぶかんしょうこうぐん)の肘(ちゅう)というのは「ひじ・ヒジ」のことですね。
肘部管症候群の仕組み
肘部管症候群を引き起こす肘と指の関係
小指と薬指の小指側の感覚や運動に関わる神経は、尺骨神経と言って、肘の内側からそれぞれの指先まで伸びています。この尺骨神経は肘の内側にある筋肉や骨に囲まれた空間にある靭帯(じんたい)の中を通っています。この部分が肘部管です。肘の変形などにより肘部管の中の尺骨神経が圧迫されますと、小指と薬指がしびれたり触っても感じなくなるなど感覚が鈍くなったりします。これが肘部管症候群なんです。
肘部管症候群が起きる理由
肘部管症候群には様々なの原因があります。例えば子供の時に肘の怪我をして、肘が変形していると、肘を動かしたときに尺骨神経がを引き延ばされやすくなって症状が出ます。その他にも、長年、肘を酷使していたために肘の関節が破壊されて、骨のトゲみたいなものができている方もいらっしゃいます。ちょうどその棘の部分に神経が通っているので、神経が圧迫されやすくなっています。肘の変形が無い方でも、肘の曲げ伸ばしをすると、内側にある神経が肘を曲げた時に引き伸ばされます。すると圧迫を受けやすいのです。
さらに、人によっては肘の曲げ伸ばしの際に神経が脱臼する方がいます。肘の曲げ伸ばしの度に骨の出っ張りの部分で神経が刺激されて症状を起こす場合もあります。
肘部管症候群なりやすい人とは
肘をよく使う人。例えば大工さんのような仕事で肘を酷使しますよね。子供の頃を含めてスポーツをする人、野球、柔道、テニスなどでも肘を酷使しています。その他になにもなくても年齢とともに肘の関節がだんだん傷んで変形しやすくなってきますので、中高年の方もなりやすくなってきます。
肘部管症候群のセルフチェック
肘部管症候群かどうかを自分で調べる方法があります。一つは、神経をちょっと叩いてみるという方法です。肘の内側に骨が出っ張った部分があると思います。肘を曲げて少し内側のところにでっぱりがありますが、その横の所へこんだ部分をちょっと叩いてみてください。小指の方にビリビリっときますね。これが非常に強い痺れが出てきたり、左右で違いがあるようだと神経の障害がある可能性があります。これだと問題ない普通の人でも、例えば頬杖をついているとか長い時間本を読んでるというような姿勢が続くと神経が刺激されて症状が出る可能性があります。
その他に箸が使いにくくなるというようなことも起こってきますわ。お箸を使う時にはこのように手を動かしますが、実は指の中の小さな筋肉を使っているんです。こういう筋肉が衰えてくるのが肘部管症候群の一つの症状です。お箸と言うと親指・人差し指・中指を中心に使えますから関係ないんじゃないかなと思うかもしれません。実は、尺骨神経は「感覚」は小指と薬指だけに入っているんですが、小指から人差し指までの手の中の小さい筋肉、指と指の間にある筋肉の[動き」は尺骨神経から命令だ言っているんです。こういった運動神経まで障害されると、親指と人差し指の間の筋肉が萎縮しで凹みが出てきます。こういう事によってお箸を使うことや字を書く動きなんかにも影響してしまいます。
指・手の中のの筋肉の左右差をみるという方法もあります。両方の人差し指を開いて、左右で押し合いっこ、横方向に押し合いっこをしてみてください。どちらかがが簡単に負けてしまうという場合には、そちらの方の筋肉が落ちていることが考えられます。普通は真ん中でずっと保ってる感じになりますが、簡単に勝負がついてしまう場合には疑いがあるかもしれないということです。ここの筋肉が最初に衰えやすいですから、筋肉が痩せる前にこういったことで力のチェックをしていくと言うことも重要です。
もう1つ、フローマン徴候テストというのがあります。紙を用意します。地面に水平になるように両手で持ちます。まず指を握ってみてくださいで親指で紙をつまんでみましょう。脇から紙をつまんで左右に紙を引っ張ります。この時に紙が容易に抜けてしまったり、持っている親指が強く曲がるような「く」の字になっていると、肘部管症候群の可能性があります。
放置しておくとどうなる?
肘部管症候群をそのままにしておくと、やがて小指は薬の感覚がわからなくなってしまったり、手の筋肉がげっそり痩せてきます。進んでくると薬指と小指を伸ばせなくなってくることもあります。鷲手といいます。
神経の回復は遅い
肘部管症候群は基本的には進行性の病気です。軽い状態であれば回復することもあるんですが、重症ですと、神経が回復するのに非常に時間がかかります。神経が再生してくるのが1日1mmと言われていますので、肘のところで神経が障害されて筋肉は手にありますから、肘から手までの距離がありますので、神経が回復を始めても、ちゃんと回復するまでに先に筋肉が使い物にならなくなってしまう危険性があります。
るとやっぱり早め早めの対応が必要です。重症の場合には完全に治すことが難しくなってきますので、早く 処置をすることが大切です。
肘部管症候群の診断と検査の方法
薬指や小指が痺れる病気はたくさんあるので、症状だけで肘部管症候群と診断するのは難しい場合もあります。その時に有効なのが神経伝導速度検査になります。電極を手の小指側のところにあてます。神経は電気を伝えるの特徴がありますので、肘の前後のところで神経を電気で刺激して、肘の前後の筋肉のところで電気が記録されるまでの時間を測定します。前後のところでの数値を比較することで、肘を挟んで神経が伝わるスピードが計算できます。伝導のスピードが落ちてると肘部管症候群ということが考えられます。
肘部管症候群の治療法
安静と投薬治療
肘部管症候群は基本的には進行性の病気です。軽いうちには、肘を曲げると神経が刺激されますから、肘を曲げないような生活をしていただく、まずは安静にすることが大事です。後は薬による治療というのもあります。神経の痛み止めの飲み薬であるとか神経の栄養剤になるビタミンB12の飲み薬を処方されることが多いです。
手術
安静や薬物療法で症状が取れない場合には、手術を早めに検討します。術では神経の圧迫を取りのぞく手術をします。肘の内側のところを切開します。神経の表面にある靭帯を切ることで神経の圧迫を取ります。ただし、この圧迫をとっても肘を曲げると神経が伸ばされて刺激を受けるとか、神経が不安定で脱臼をするような人の場合には、神経の位置を後ろから前にずらすような処置も加えておきます。手術の時間は1ー2時間程度です。
ただし、進行性の病気である肘部管症候群、手術をして、軽いうちなら元に戻る可能性も高いですが、重症になってくると改善はしても完全には元に戻らない危険性も高くなってきます。手術の一番の目的は進行を抑えることになりますので、早めに受診していただいて治療を開始するということが大事です。
整形外科や「手外科」を受診
薬指と小指にしびれや痛みを感じて、場合によってはもう感覚すらなくなるという肘部管症候群。細かい動きをする手の機能の中で、神経の役割はすごく大事。薬指や小指が痺れる原因は他にもたくさんあります。肘部管症候群は基本的に進行性の病気なので、早めに受診していただいて正しい診断を受けて治療していくことが大事です。